結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
なんなの?
気のせいかもしれないけど、もしかして殿下……照れてる? まさかね。
照れる理由もないし、あの殿下がそんな普通の人間みたいな反応を──。
「セアラ」
「はっ、はい!?」
心の中で殿下の悪口を言っていただけに、過剰に反応してしまった。
「今夜は仮面舞踏会だけど、妃候補の令嬢がわかるのか?」
「……いえ。来るべき夜会を間違えたと思っております」
「……だろうな」
ジョシュア殿下は呆れたようにはぁーー……っと大きなため息をついた。
同時に「よりにもよって仮面舞踏会に来るとは……」と聞こえた気がしたけれど、声が小さすぎてハッキリとは聞き取れなかった。
ただ、先ほどまでの怖いオーラは感じない。