結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
機嫌……治ったのかしら?
ジョシュア殿下の様子を見て、ずっと気になっていたことを聞いてみる。
「あの。殿下はなぜここにいらっしゃるのですか? 今夜の仮面舞踏会には参加されないはずでは?」
私の質問に、ジョシュア殿下はニヤッと口角を上げた。
なんだかいつもの殿下に戻ったような気がする。
「うちの秘書官がここに来るんじゃないかと予測していたからね。まぁ、俺がダメだと言ったから来る可能性は低いと思っていたんだが、まさか本当にいるとはね」
「…………」
嫌味たっぷりな回答に、私は何も言い返すことができない。
「夜会が初めての秘書官が心配で見守っていたら、変な男に連れ去られそうになっていたから仕方なく助けに入ったんだよ」
「……ちょ、ちょっと待ってください」
今の言い方だと、まるで──。