結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
「あの、では帰るために会場を通るので、このジャケットはお返ししますね」
「ああ。じゃあ、ジャケットの代わりにこっちだな」
返したジャケットを羽織るなり、ジョシュア殿下は腕をグイッと差し出してきた。
まるで掴まれとでも言っているようだ。
「……こっち、とは?」
「早く掴まれ」
「えっ?」
掴まれ!? 殿下の腕に!?
な、なんで?
「いえ、あの……掴まれって……」
思わず一歩後ずさった私を見て、ジョシュア殿下が目を細める。