結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
「パートナーのフリだよ。セアラ1人で歩いていたら、またさっきみたいな男が寄ってくるかもしれないだろ」
「だからって、殿下の腕に……」
「今夜は仮面舞踏会だ。身分は気にしなくていいパーティーだぞ」
「それは、そうですが」
たしかに仮面舞踏会の本来の目的は、身分を気にせずに楽しむためのものだ。
しかし、そうはいっても相手がこの国の王子だとわかった状態と知らない状態では話が違う。
あの殿下をパートナーとして扱うなんて、秘書官の私には無理だわ!
この国の夜会でのパートナーの立ち位置は、女性のほうが上なのだ。
男性は女性に尽くすように丁寧に扱う。
手を差し出して重いドレスを着た女性を支え、誘導するように女性に合わせて歩く。
そんなの殿下にさせられるわけないっ!