結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
「はい。急に呼び出されて、早口で捲し立てられました。『あなたが担当していれば今頃は』とか『どうしてよりにもよってセアラに任せたの』とか」
「それって、ジョシュア殿下の妃候補の件ですよね?」
「そうだと思います。僕、担当を変えてはいけないと知らなくて。いつも僕かセアラ秘書官のどちらでもと言われることが多かったので」
トユン事務官はシュンと落ち込んだ様子で話し続けた。
マーガレット王女に叱られたのが余程きつかったのか、顔が少し青くなっている。
「トユン事務官だけのせいではないですよ。私だってきちんと確認せずに引き受けてしまったんですもの」
「セアラ秘書官……」
それよりも、気になるのは王女の言葉だわ。
「トユン事務官が担当していたらすぐに決まった……と言っていたんですよね? ということは、私のせいで進行が遅れているのを怒っているのかしら?」
私からの質問を聞いて、トユン事務官が眉をくねらせながら首を傾げた。