結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜

「それって……セアラ秘書官を候補者にしたかったということなんでしょうか?」

「えっ?」


 丸いメガネをクイッと上げて、トユン事務官が推理中の探偵のようにブツブツと考えを話し始めた。


「そうか。だから、僕が担当じゃなかったことに対して怒っていたんですね。僕が担当していたら、セアラ秘書官の書類は抜かなかった。それがあれば、ジョシュア殿下はセアラ秘書官を選んで今頃はもう妃候補が決定していた──」

「ま、待ってください。それだと、殿下が私を選ぶことが前提みたいになってますよ」

「あ。たしかに。でも、選ぶ可能性は高いですよね? 殿下はセアラ秘書官が好きと言っていますし」

「それは嫌がらせで……」

「もしかして、嫌がらせではなく本当なのではないですか?」

「…………」


 まさに閃いた! と言わんばかりに顔を輝かせているトユン事務官。
 自分の推理に自信があるようだ。



 殿下は本当に私のことが好き……?

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