結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
「もし本当に殿下が私を選んだなら、それはもちろん受け入れます」
「!」
だって、公爵家の娘として政略結婚は当然のことだもの。
ましては相手はこの国の王太子様。
断る選択肢なんて、あるわけない。
私の答えを聞いたトユン事務官は、なぜかパアッと顔を輝かせた。
「セアラ秘書官が王妃様になるなんて、完璧ですね! なんで今まで気づかなかったんだろう。こんなにお似合いな2人に!」
「ト、トユン事務官?」
「もうその選択しかないですよ! 妃候補はセアラ秘書官で決定です! そうとなったら、早速セアラ秘書官の書類を候補の中に入れて──」
「待ってください!」
興奮しているトユン事務官の腕をガシッと掴み、その動きを止める。
事務官はキョトンと目を丸くして私を見た。