結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
29 フレッド王子が私に会いに来たと言ってますが……なんで?
「はぁ……」
朝の会議終了後、私はトボトボと王宮の中庭に向かって歩いていた。
執務室にも寄らずにそのまま来たので、会議の書類などを持ったままの状態だ。
それを抱きしめるようにして持ち、私は小さなため息をついた。
会議に集中できなくて失敗ばかりしちゃったわ……。
みんなの前だったから殿下に怒られずに済んだけど、執務室に戻ったらきっと怒られちゃうわね。
朝トユン事務官と話していた内容が頭から離れず、殿下に名前を呼ばれたのに無視してしまったり、インクを床にこぼしてしまったりしたのだ。
ああ……引き攣った笑顔の殿下、恐ろしかったわ。
「……ん?」
中庭が見えてきたとき、その近くに2人の騎士が立っているのが見えた。
1人は第1騎士団の団長で、何度か話したことのあるディエゴ団長だ。
その隣にいる赤い髪の騎士には見覚えがある。
えっ? あれって……フレッド殿下!?