結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
 その数日前。


「……今、何時?」

 
 ベッドの中で目覚めた私は、すぐにサイドテーブルの上に置いてある時計を確認した。


 
 5時! 時間ピッタリね。


 
「んんーー……もうすっかりこの時間に目覚める体になっちゃったわ」

 
 背筋をグッと伸ばしてから、ゆっくりとベッドを降りる。

 呑気な令嬢生活をしていた頃は、こんなに早く起きることはなかったし、着替えだって髪を結ってもらうのだって侍女にやってもらっていた。
 
 でも、今は毎日この時間に起きて自分で身支度を整えている。

 顔を洗い、慣れた手つきで薄いピンク色のふわふわ髪をまとめ、秘書官の制服に着替えたら準備は完了だ。

 机の上に置かれた書類の束を手に持ち、私は急ぎ足で部屋を出た。
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