結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
私とディエゴ団長がギョッとしてフレッド王子を凝視する。
思いもよらない答えに固まってしまった私と違い、ディエゴ団長は何かを察したかのように急に焦って走り出した。
「じゃ、じゃあ、俺は向こうに行ってるので!」
「えっ? ディエゴ団長!?」
名前を呼んだけれど、ディエゴ団長は恐ろしい速さで見えない距離にまで行ってしまった。
その場には私とフレッド王子だけが取り残される。
え? な、何?
フレッド殿下を置いてどこかに行ってしまったわ。
それに、フレッド殿下もさっきのセリフはいったい……。
もう見えなくなったディエゴ団長からフレッド王子に視線を戻すと、突然目の前に大きな手が見えた。
えっ?
その手がそっと私の額に触れて、近い位置でフレッド王子と目が合った。
「本当にもう熱は下がったのか?」
王子の質問で額の温度を測ってくれているのだと理解できたけれど、男性に顔を触られているという状況に体が硬直してしまっている。