結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
すぐに拾おうとしたフレッド王子よりも先に、ものすごいスピードで私がそれを拾い上げる。
「あ」
私に写真を拾われたフレッド王子は、小さくそう声を漏らした。
「ど、どうしてフレッド殿下がこの写真を!?」
「アイリス様にもらった」
お姉様っ!!!
フレッド王子が持っていた写真は、私の子どもの頃の写真だ。
可愛いピンクのドレスを泥だらけにして、笑顔で木に登っている7歳の私──。
お姉様ったら、どうしてこんなみっともない写真をフレッド殿下に渡したの!?
「これも持ってる」
「!」
そう言って、王子は手帳からもう1枚写真を出して見せてきた。
間違いなく姉に送った最近の家族写真だ。
「この写真をアイリス様の家で見た。しっかりした姿を見たあとにその写真が隣にあることに気づいて、同一人物だということに驚いた」
「そ、そうですか」