結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
「大丈夫か?」
「はい……。ありがとうございます……」
「気にしなくていい」
ニコッと優しい笑顔でそう言われたけれど、そもそも倒れる原因になったのはジョシュア殿下のせいである。
複雑な気持ちになりながらも、とりあえず体勢を整えて殿下から離れた。
自分でいきなり引っ張っておいて、気にしなくていいってどういうことよ。まったくもう……!
「大丈夫か? セアラ」
「あ、はい。大丈夫です。フレッド殿下」
「そうか。じゃあ、このあと──」
フレッド王子がそこまで言ったとき、ジョシュア殿下が言葉を遮って話に割り込んできた。
「申し訳ございません。フレッド殿下。セアラ秘書官は、このあと重要な会議が入っているんです。あまりにも遅いので探しにきたんですよ。もう本当に時間がないので、そろそろこの辺で失礼してもよろしいでしょうか?」
「…………」