結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
32 ヤキモチ……ですか?
ピリピリとした居心地の悪い空気の中、ペコッと頭を下げてその場を離れる。
私の前を歩いているジョシュア殿下がいつもより早歩きで、遅れずについていくのがやっとだ。
ジョシュア殿下ったら……なんでこんなに歩くのが速いの?
足の長さが違うんだから、ついていくこっちの身にもなってほしいわ。
ほぼ走っているといっても過言ではないスピードのため、少し息切れをしてしまっている。
もうとっくにフレッド王子の姿が見えなくなった場所に来たとき、突然ジョシュア殿下が空き部屋へと入っていった。
「殿下? このお部屋に何か……」
バタン!
あとに続いて中に入った途端、扉を閉められてしまった。
私はジョシュア殿下と扉の間に挟まれて、身動きが取れない。
……あ、あら?
こんな体勢、少し前にもあったような……。