結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
「あの、殿下。やっぱり私が自分で塗ります。きちんとその薬を使用しますので」
 
「いや。俺がちゃんと塗ってあげるから安心していいよ」
 
「ですが、秘書官が殿下に薬を塗ってもらうなど……」
 
「いいって言ってるだろ」
 
「っ!?」

 
 椅子にもたれていたジョシュア殿下が、急に前のめりに体を動かした。
 距離が一気に縮み、殿下の彫刻のような美しい顔が目の前に現れる。


 
 わっ! 近い!


 
 置いてあった椅子にそのまま座ってしまったけれど、思っていた以上に近かったようだ。


「しっ、失礼しました! もう少し離れ……」

 
 そう言いながら自分の椅子の位置を移動させようと立ち上がると、ジョシュア殿下がギュッと腕を掴んできた。
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