結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
33 私とフレッド殿下の噂話
顔を赤くして照れたジョシュア殿下を見て、初めて可愛いと思ってしまった私。
なんて声をかけていいのかわからず黙っていると、私に背を向けていた殿下がボソッと呟いた。
「……そろそろ戻るぞ」
「……はい」
扉を開けると、ジョシュア殿下はサッと私の前を通りすぎて先に部屋から出た。
まだ自分の顔を見せたくないのか、こちらを見ようとしない。
私の顔も赤くなってるだろうし、見られなくて助かるわ……。
そんなことを考えながら、ジョシュア殿下のあとに続いて執務室に向かう。
ヤキモチですか? っていう質問、結局答えなかったわね。
肯定もされてないけど、否定もされてない……。
間違ったことを言われたなら、ジョシュア殿下はハッキリと否定するはずだ。
それがなかったということは──。
カアッとさらに顔が赤くなってしまった気がする。
うう……これじゃまた仕事に集中できなくなっちゃうわ!
ドキドキと速まる鼓動がなんとか治まるようにと願いながら、私とジョシュア殿下はお互い無言のまま歩き続けた。