結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
「待って。落ち着くのよ、セアラ。なんだかそれを認めてはいけない気がするわ」
そんな独り言を呟きながら、また長ソファに腰かける。
手にはあのブローチを持ったままだ。
……でも、あの男の子に似たフレッド殿下にはまだ惹かれていないわ。
6歳の私の写真を見ても、フレッド王子は覚えがないと言っていた。
思い出の男の子ではないのかもしれないし、ただ本当に忘れているだけの可能性もある。
「あの男の子はフレッド殿下じゃなかったのかな……?」
まあ、もしあの男の子がフレッド殿下だったとしても、何か変わるわけではないけど。
成長したら、必ずしも同じ人を好きになるわけではないのかしら。
キラッと光ったブローチの宝石が、私に何かを訴えているような気がした。