結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜

 次の日。
 朝食プレートを持って席を探している私を、王女専属メイドのドロシーが呼んだ。


「セアラ秘書官。こちらで一緒に食べませんか?」

「ありがとう、ドロシー」


 王女専属メイドは順番で食事をとっているため、いつも食べるときは1人なのだとドロシーが話していたのを思い出す。



 私もいつも1人だから嬉しいわ。



 単純に一緒に食べるために呼ばれたと思っていた私は、目をギラギラと輝かせているドロシーを見て一瞬座るのをためらった。


「……ドロシー。その興味津々そうな顔は何?」

「なんのことですか? それより早く座ってください。セアラ秘書官」


 ドロシーはニコニコと笑いながら私のために椅子を引いてくれた。
 もう今さら違う席には行けなそうだ。

 覚悟を決めて椅子に座り、できるだけ早く食べてしまおうとパンに手を伸ばす。



 なんだか嫌な予感がするわね。


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