結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
自分の席に戻ったドロシーは、私と同じようにパンをちぎりながらジーーッと見つめてくる。
何か聞きたいことがあるのだと丸わかりだ。
「……何かあったの?」
「いえ。そのーー……昨日、ルイア王国の第3王子様と会っていたって本当なんですか?」
「え? どうしてそれを?」
「本当なんですねっ!?」
ちぎったパンをぐしゃっと握りしめて、ドロシーが前のめりになって顔を近づけてくる。
「ええ。本当だけど……パンが潰れてるわよ」
ドロシーは「大丈夫です!」と元気に答えると、潰れたパンをパクッと口の中に入れた。
もぐもぐと噛みながらも、その目はまだ輝きながら私を見つめている。
なんなのかしら?
私とフレッド殿下が会っていたことに、そんなに興味を持たれているの?