結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜

 自分の席に戻ったドロシーは、私と同じようにパンをちぎりながらジーーッと見つめてくる。
 何か聞きたいことがあるのだと丸わかりだ。


「……何かあったの?」

「いえ。そのーー……昨日、ルイア王国の第3王子様と会っていたって本当なんですか?」

「え? どうしてそれを?」

「本当なんですねっ!?」


 ちぎったパンをぐしゃっと握りしめて、ドロシーが前のめりになって顔を近づけてくる。


「ええ。本当だけど……パンが潰れてるわよ」


 ドロシーは「大丈夫です!」と元気に答えると、潰れたパンをパクッと口の中に入れた。
 もぐもぐと噛みながらも、その目はまだ輝きながら私を見つめている。



 なんなのかしら?
 私とフレッド殿下が会っていたことに、そんなに興味を持たれているの?


< 229 / 318 >

この作品をシェア

pagetop