結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
「いいから座れ」
 
「ですが……」
 
「セアラ?」
 
「……はい。座ります」

 
 迫力のある黄金の瞳で見つめられると、まるで獰猛な獣に睨まれた小動物のようになってしまう。

 恐ろしいことに、殿下は笑顔だ。
 こんなにも威圧感のある笑顔を作れるのは、この腹黒悪魔王子しかいない気がする。
 
 そんな悪魔に逆らうのは即座に諦め、私は再び椅子に座った。

 
「これが噂のカシール国の塗り薬だ」

 
 そう言って、ジョシュア殿下が手に持っていた小瓶を私に見せてきた。
 透明な瓶に入っているため、ドロドロとした深い緑色の薬が嫌というほどよく見える。


 
 まあ。なんという禍々しい色なの。
 これがヒリヒリして痛いと噂の塗り薬なのね……どのくらい痛いのかしら?
< 23 / 318 >

この作品をシェア

pagetop