結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
「王家特有の赤い髪も綺麗だったわ。さすが王子様って感じね」
「背も高くてスラッとしてて、遠目で見てもかっこよかったわ」
ジョシュア殿下の黄金の瞳だって綺麗だし、フレッド殿下と同じくらい背が高いわ。
「騎士様だから、きっと体も鍛えているのよね? 憧れてしまうわ〜」
「ジョシュア殿下だってお忙しい中でも体を鍛えているのよっ」
「……え?」
「ある程度の剣術だって習っているし、本場の騎士様には敵わないかもしれないけどジョシュア殿下だってそれなりに──」
我慢できずに話に入ると、3人のメイドとドロシーがキョトンとした顔で私を見つめた。
「セアラ秘書官……?」
「フレッド殿下はもちろん素敵だと思うけど、ジョシュア殿下だって負けないくらい素敵だと思うわ」
「あ、あの。セアラ秘書官……」
「何?」
遠慮気味に話しかけてきたドロシーに、勢いよく聞き返す。
ドロシーは目を丸くしながら、興味深そうに私を覗き込んだ。