結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
その日の午後。
まだ妃候補の確認が取れていない私は、ため息をつきながら実家からの手紙を開けていた。
ジョシュア殿下とトユン事務官はまだ昼食から戻ってこない。
今は執務室に1人きりだ。
「フレッド殿下がまたうちに来るのね……」
手紙を読んだ私は、ボソッと独り言を呟く。
ハッキリとフレッド王子の名前は書いていないけれど、内容で彼のことを言っているのだとすぐにわかった。
この前、今度は実家でって言っていたものね。
本当に有言実行される方だわ。
手紙には、今夜また帰ってきてほしいということが記されている。
午前中にがんばったから、今日の仕事はもうほぼ終わっているのよね。
あとは諸々の確認と、妃候補の件だけ……。
ジョシュア殿下の嫌がらせや邪魔が入らないことで、仕事がいつもよりスムーズに進んでいるのだ。
喜ばしいことなのに、なぜか素直に喜べない。
「殿下が戻ってきたら、すぐに妃候補の方を決めていただかないと!」
そう決心したはずだったのに──。