結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
ジョシュア殿下の不機嫌の理由がわかり、思わず手で口を隠した。
自分の口角が上がってしまっている気がしたからだ。
頭の中にはまた『ヤキモチ』の文字が浮かんでいる。
「フレッド殿下がセアラの家に来ているんだろ?」
「……はい」
「はあっ……」
わざとらしく大きなため息をつくジョシュア殿下。
なぜか彼がワガママを言っている少年のように見える。
可愛い……なんて思ってないわ!
これは殿下よ! 腹黒王子のあの殿下よ!?
自分に言い聞かせるようにして心を落ち着かせると、私は冷静にジョシュア殿下と向き合った。
「明日ルイア王国に帰るそうです。なので、お見送りをするだけですよ」
「…………」
……納得のいってない顔ね。
まだ不満そうな気持ちが思いっきり顔に出ているわ。