結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜

「でも、セアラといるのは楽だ。セアラは……初めて会ったときから、横にいても嫌な空気を感じなかった。俺の無愛想な喋り方にも怯えずに普通に話してくれたし、俺の言葉をちゃんと真剣に考えてくれている」

「……フレッド殿下の言葉には威圧感がないですし、怯えるだなんて……」

「ああ。だから、最初から俺のことをそう理解してくれたセアラを気に入ったんだ」

「…………」



 初めて会ったときは、フレッド殿下があの男の子かと思ったから……警戒心どころか興味津々だったのよね。
 ぶっきらぼうな話し方も、あの男の子に似てるって喜んでしまってたくらいだし。
 


 ウイッグのことなど、こちらから質問したりしていたことを思い出す。
 そのフランクな態度を、こんなに気に入ってもらっていたなんて知らなかった。

 フレッド王子は椅子の背もたれから体を離し、今度は自分の足の上に肘をつき指を組んだ。
 前屈みの姿勢になった王子が、少し下から見上げるように私を見つめる。


「もちろん、それだけでいきなり愛してるとかは言えない」

「あ、愛……!?」

「でも、これから俺のそばにいてくれたら嬉しいとは思う。……セアラ。ルイア王国に来て、俺と結婚する気はないか?」
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