結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
38 私はジョシュア殿下のことが……
「セアラ。ルイア王国に来て、俺と結婚する気はないか?」
「!」
いつの間にか、隣に座っていたフレッド王子が私の手を握っていた。
大きくて温かい手に包まれて、頭の中が一瞬でパニックになる。
え? 私、今プロポーズされた?
フレッド殿下に??
真っ白になった頭の中で、ドロシーがピョンピョンと飛び跳ねている。
まるで『ほら。やっぱり! 私の言ったことが現実に!』とでも言って喜んでいるかのようだ。
プロポーズ……これを受けたら、私にも婚約者ができるのよね。
秘書官を辞めて、ちゃんと結婚できる。
でも……。
生まれて初めて結婚の申し込みをされたというのに、なぜか私自身の心はドロシーのように小躍りしていない。
嬉しい気持ちよりも戸惑いの気持ちが強くて、フレッド王子の顔を真っ直ぐに見ることができずにいる。