結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
「あの、私……」
「誰か好きな相手でもいるのか? ……ジョシュア殿下とか」
「!?」
カアッと自分の顔が赤くなったのがわかった。
フレッド王子に求婚されたときよりも、顔が熱くなっている。
「ま、まさか……」
そう言って否定したけれど、フレッド王子は信じなかったようだ。
無表情なのに、疑わしい目を向けられているのがわかる。
「セアラ。わかりやすいな」
「……っ!」
……違うわ! 私は別にジョシュア殿下のことが好きなわけじゃ……!
私が返答に戸惑ったのは、帰り際に見たあの悲しそうな顔のジョシュア殿下を思い出してしまったからだ。
殿下が好きだから迷ったわけじゃない。……たぶん。