結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜

 自分でも自分の気持ちがよくわからないわ。



「好き……だからではない、と思います」

「じゃあ俺と結婚する?」

「それは……」


 しどろもどろになる私を、フレッド王子は興味深そうにジーーッと見ている。
 なんだか観察されているようで居心地が悪い。



 それは……ジョシュア殿下が悲しむからできません。
 そう言いそうになったわ。



 これはもう好きと同じ意味なのではないかと、心の中にいるもう1人の自分が問いかけてくる。



 そうなの……?
 私はジョシュア殿下のことが……。



 ずっと私の百面相を見ていたフレッド王子は、そんな私の心の中を見透かしたのかもしれない。
 私から手を離し、小さくため息をついた。


「セアラ。本当にわかりやすいね」

「うっ……」

「わかった。今回はとりあえず諦めるよ」

「……今回は?」

「ああ。もし半年以上経ってもジョシュア殿下とセアラの婚約話が流れてこなかったら、また来る」

「えっ!?」

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