結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
私とジョシュア殿下の婚約話!?
「な、なんですか、それ!?」
「俺の勘だと、半年以内にはそんな報告がありそうな気がするから」
よほど自信があるのか、フレッド王子がキッパリと言いきった。
勘!?
フレッド殿下は、ジョシュア殿下に妃候補の話が出ていることは知らないはずなのに……!
そんな報告がありそうだと予想するなんてすごいわ!
これが野生の勘というやつなの?
変なところで感動している私を横目に、フレッド王子が椅子から立ち上がった。
私も慌てて立ち上がる。
「じゃあ帰るか」
「わざわざ来ていただいてすみませんでした」
「いや。勝手に来たのはこっちだから」
フレッド王子は持っていた黒髪のウイッグをバサッと適当に頭に乗せた。
このウイッグがやけにボサボサなのは、こうして綺麗に整える必要がないようにという理由なのかもしれない。