結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜

5 男をわかってないと言われましても


 殿下はなんでこんなに怒っているの?


 
 私の返事を待っているのか、ジョシュア殿下は口を開こうとしない。
 どんな答えが正解なのかはわからないけど、とりあえずここは謝罪しておいたほうが良さそうだ。


 
 このままだとさらに怒りそうだし、早くこの意味のわからない会話を終わらせちゃおう!
 ……なんで私が謝らなきゃいけないのか納得できないけど。


 
「あの、殿下。私の至らない行動のせいで不快な思いをさせてしまい、申し訳ございま──」

 
 ベチャ。

 
「……ん?」

 
 そう謝って気を抜いた瞬間、鼻に冷たくベタッとした感触がして、一気にヒリヒリとした痛みに襲われた。


「いっ……いたっ……!!」
 
「ははっ。特別にたっぷり塗ってあげたよ」
 
「!!」


 
 あの薬!! いつの間に!!
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