結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
40 ジョシュア視点②
オリバーは俺に気を使ってくれているのか、教会の中には入ってこなかった。
しかし、割れた窓からオリバーの頭が少しだけ見えているので、近くで待機しているようだ。
人のいない教会って、こんなに静かなんだな……。
ボロボロに破けた絵画を見ながらそんなことを考えていると、突然ガチャッと扉が開いた。
「わぁ……! 中も素敵ね!」
幼い女の子の声。
俺は咄嗟に椅子の上で体を丸めて隠れた。
誰だ!? なんでここに人が!?
足音がだんだんと近づいてくるので、俺は前髪をいじって絶対に目をみられないよう念入りに隠した。
ドキドキと鼓動が速くなる。
見つかるな……!
そんな願いはあっさりと打ち消され、俺のすぐ近くで足音は止まった。
毛の間からうっすらと見えるが、俺と同じくらいの年の女の子がこちらを凝視している。