結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜

41 ジョシュア視点③


 オリバーは心底悲しそうな顔をして、俺に頭を下げている。


 
 もう教会に行けない……?
 


「……なぜだ?」

「ジョシュア殿下が変装して街に出ている……そんな噂が立っているのです」

「!」


 詳しく話を聞くと、あのブローチを買ったときによく見ようと前髪を少しかき上げてしまったのが原因らしい。
 誰も周りにいないと思っていたが、店員が俺の黄金の瞳を見てしまったようだ。

 病気でふせっているはずの王子がお忍びで街に出ていたと、あっという間に噂が広まったらしい。


「申し訳ございません。殿下」

「いや。……注意が欠けていたのは俺だ」

「殿下がいるかもしれないという噂がある以上、もうあの街へは行けません。あの教会にも……」

「……そうか」


 俺は拳をギュッと握りしめ、なんとか暴れたくなる衝動を抑えた。

 もう教会へは行けない。
 もうあの女の子には会えない。
 一緒にお菓子を食べようと言ったあの約束も、もう守れない。

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