結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
 ジョシュア殿下は手に持っていた小瓶をフリフリと揺らしている。


 
 私が考え事をしていて殿下から視線を外したからって、その隙に薬を塗るなんて!
 もしかして、さっき怒っていたのもわざと!?


 
「殿下。目を閉じて……の話は、私の気をそらせるための嘘だったのですね?」

 
 ヒリヒリジンジン痛む鼻を両手で囲い、恨めがましい目をジョシュア殿下に向ける。
 口角を上げて満足そうな顔をしているジョシュア殿下は、私の言葉を軽く否定した。

 
「いや。嘘じゃないけど。あまりにも男に対して警戒心のないセアラに怒ってるのは本当だし」
 
「警戒心……ですか?」
 
「ああ。まさか、あんな簡単に男の前で目を閉じるとはね」


 
 ???
 男の前……って、『自分』の前ならともかく、なんで『男』の前?
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