結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
どんどん落ち込んでいく真っ黒な心。
その心に、突然一筋の光が差した。
……待て。あの女の子は貴族だった。
ということは、これから先パーティーやイベントで会うことがあるんじゃないのか?
今はまだ幼くて、貴族のパーティーにも参加できない年齢だ。
しかし、デビュタントを迎えれば会う機会も必ずあるはずだ。
……俺が王子として今まで通り過ごせたら。
「ははっ。あんなに嫌がっていた『王子』を、自分からまたやろうと思うなんてな」
単純すぎて自分で自分をバカにしてしまう。
でも、心はやけにスッキリしていた。
これで父や姉……それに、オリバーも少しは安心するかな。
こうして俺は、今まで通りに爽やか完璧王子として人前に出るようになった。
いつかまたあの女の子に会えたときに、堂々と挨拶ができるように。