結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜

「オリバー。秘書官を別の者にすることは可能か?」

「可能でございます。例えば、秘書官候補だった者が結婚をされたり、何か罪を犯したり、辞退した場合です」

「結婚、犯罪、辞退か……」

「ちなみに、アイリス嬢は真面目で学園での成績も優秀だと聞いておりますので、罪を犯したり辞退する可能性は少ないでしょう」



 それなら結婚しかないのか。



 突然こんな質問をした俺に理由を聞くこともせず、オリバーは黙って俺を見守っている。
 まるで最初からこの質問をされるとわかっていたかのようだ。


「アイリス嬢に婚約者は?」

「おりません」

「……たしか、この前会ったルイア王国の第2王子が婚約者候補を選定していたな?」

「はい。事業の手伝いのできる優秀な女性を求めておりました」



 あの王子は人柄も良く国民からの支持もあるお方だ。
 結婚相手として申し分ないだろう。


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