結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜

43 ジョシュア視点⑤


 俺のセアラへの気持ちがオリバーや父に知られていたと知ったのは、いつだったか。
 父と姉との3人だけの食事の際に、突然父が言った。


「初恋の少女が秘書官になって、よかったな」


 そんな言葉を言われたような気がする。
 ニコニコと嬉しそうな父と、目を丸くして驚いている姉の姿が頭の隅に残っている。


「……なんのことでしょう?」

「とぼける必要はない。彼女が昔古い教会で会っていた少女だということは知っている。……というか、そのためにバークリー家へ挨拶に行かせたわけだしな」

「…………は?」


 最初はなんとか冷静を保てていたが、この言葉にはさすがに動揺してしまった。

 なぜ父が古い教会で会っていた少女のことを知っているのか?
 なぜその少女がセアラだと知っているのか?
 なぜ俺がバークリー家に行く前から、その少女がバークリー家の娘だと知っていたのか?



 ……オリバーめ。
 あいつ、最初からあの少女がバークリー家の娘だと知っていたのか。


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