結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
オリバーめ……全部お見通しだったのか。
俺が毎週欠かさず古い教会に通っていた理由も。
俺がアイリス嬢を秘書官から外したかった理由も。
全部知っていて協力をしてくれていたオリバーに、感謝の気持ちと少しの苛立ちを感じる。
まあ、この苛立ちは単なる羞恥心からきてるものだが。
「ジョシュアはあの秘書官が好きなの!? 初恋って、いつから!?」
何も知らなかった様子の姉が、興奮気味に体をテーブルの上に乗り出した。
俺の初恋の話がそんなに興味あるのか? と冷めた目を向けたが、姉の瞳はキラキラと眩しいくらいに輝いている。
面倒なヤツに知られたな……。
「……言っておくけど」
「何? 何?」
「もしセアラに何か余計なこと言ったら……どうなるかわかってる?」
ニヤけた顔をしていた姉が、ヒュッと真顔になった。
父は素知らぬ顔で食事を続けているが、どこか『しまった』と思っているような気まずそうな空気を纏っている。