結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜

「……返して。セアラ」

「嫌です。休んでください」

「平気だって言って……」


 そこまで言ったジョシュア殿下が、目を丸くして言葉を止めた。
 何かに気を取られたかのように、一点から目を離さない。


「ジョシュア殿下?」

「それ……」

「え?」

「そのブローチ……」


 ジョシュア殿下が見ていたのは、私の襟についているブローチだ。
 口をポカンと開けたまま、このブローチを凝視している。



 これを見ていたのね。
 すごく驚いてるみたいだったから、何かと思ったわ。



「このブローチがどうかされましたか?」

「……いや。つけているのを初めて見たから。……誰かからの贈り物か?」

「はい。私の大好きなお友達からの贈り物です」

「!」

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