結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜

 目を丸くした私に、言い訳するかのように王女が口早に説明していく。


「だってね、あの候補者を選んだのは父だから! やっぱり本人とはいえ、勝手に書類を抜くのは良くないと思うのよね!」

「…………」

「べっ、別にジョシュアのためとか、何か裏があるとかじゃないからね!?」



 私を、殿下の妃候補の中に入れる……?



 あわあわと慌てている王女を見ていると、なんだか自分の気持ちを正直に話せるような気がしてくる。
 ウソの苦手な王女に感化されたからかもしれない。


「…………いいのでしょうか?」

「え?」

「今さら私の書類を候補に入れても……」

「…………」


 小さい声で問いかけた私を、王女はめずらしいものでも見るようにジッと見つめた。
 まるで『これは本物のセアラ?』とでも思われていそうな顔だ。


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