結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
マーガレット王女はそんな私の戸惑いには気づいていないようで、顔の前でパンッと両手を合わせた。
「お願い! このこと私が話したって、ジョシュアには言わないで!!」
「え?」
「もし私が話したってバレたら、私……」
青ざめていく王女の顔を見て、ジョシュア殿下に口止めされているのだとすぐにわかった。
この怯えようからして、口止めというより脅されているのかもしれない。
どうしよう。
マーガレット様は、私とジョシュア殿下が昔から会っていたと思っているみたいだわ。
これは否定していいのかしら……?
そんなことを考えて迷っていると、王女が私を見て「あっ」と明るい声を出した。
「そのブローチ! それね。ジョシュアがあげたブローチって」
「…………え?」
「オリバーから聞いてた通りだわ。本当にセアラの瞳の色と一緒なのね。セアラがつけているのを見たことがなかったから、もう持ってないのかと思ってたわ」
「……このブローチ、ジョシュア殿下が……?」
ボソッと呟いた私の言葉を聞いて、王女の目がパチッと丸く見開く。