結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜

「あら。知らなかったの? たしかに、手紙も何もつけなかったと聞いたけど……。でも、あの教会に置いてあったらジョシュアからだってわかったんじゃないの?」

「……そうです。いつも会っていた男の子からだと思って……」

「なんだ。知ってたんじゃない。そうよ。ジョシュアが初めて自分で買った──」

「マーガレット様ああああ!!」

「!!」


 そのとき、執務室の外から王女を呼ぶメイドたちの叫び声が聞こえた。
 どうやら王女を捜しているようで、何人ものメイドが声を上げている。


「……いけないわ。もう戻らなきゃ。ジョシュアが休んでるって聞いて、ついここに来ちゃったのよね」


 そういえば、今日は王女のお出かけがあるからとても忙しいとドロシーが言っていたな……と、ボーーッとする頭の片隅で思い出す。


「じゃあね! 書類の件、任せたわね!」

「……はい」


 嵐のように去っていくマーガレット王女を見送ったあと、私は執務室で立ち尽くしていた。
 頭の中がグルグルしていて、うまく考えがまとまらない。


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