結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
あの男の子が……私の初恋の男の子が……ジョシュア殿下だったの?
フレッド王子に初めて会ったとき、王子は『王族の者は狙われやすいから、幼い頃から変装して出かける』と言っていた。
あのときはフレッド王子が初恋の男の子なのかもと思っていたから、他の人にも当てはまるとは考えてもみなかった。
ジョシュア殿下も、幼い頃に変装して出かけていたの……?
あの黄金の瞳を隠すために……。
あの男の子は変装したジョシュア殿下だった?
殿下は、私があの女の子だと知っていた?
今だけじゃなく、その頃から殿下は私のことを……?
次から次へと浮かんでくる疑問。
考えれば考えるほど、足の力が抜けていくようでまともに立っていられなくなる。
私はフラフラ……と倒れそうになりながら、なんとか壁に手をついて自分の体を支えた。
「…………ふふっ」
なぜ気づかなかったのか、なぜ殿下の言葉をずっと信じなかったのか、と自分を責める気持ちを抱えつつ私は吹き出した。