結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
46 ……好きです
「はぁ……はぁ……」
ジョシュア殿下の部屋の前に着いた私は、とりあえず息を整えようと胸に手を当てた。
ドキドキドキ……と速まる鼓動は、走ったせいなのか緊張しているからなのか。
この部屋に来るの……初めてだわ。
ジョシュア殿下は毎日遅れることなく執務室にやってくるし、体調が悪かったりする場合も様子を見にいくのはトユン事務官の役目だった。
ここで長年働いているけれど、直接来るのは初めてだ。
殿下、起きてるかしら?
小さくノックをしてみて、返事がなければ戻ろう。
そう思い、震える手になんとか力を入れてノックしようと腕を振ったとき……その手は扉に当たることなくスカッと空振りをした。
え!?
ちょうどノックをしようとしたタイミングで、中から扉が開けられたのだ。
その隙間から見えたのは、私以上に驚いた顔をしたジョシュア殿下だ。
「……セアラ!?」
「で、殿下」