結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜

 毎日会っていた人だというのに、殿下の顔を見た瞬間に自分の顔が赤くなったのがわかった。
 体に熱がこもり、さっきよりもさらに鼓動が速くなっている。


「何やってるんだ? なんでここに……」


 少しは寝ることができたのか、朝よりも顔がスッキリしたように見えてホッとひと安心する。



 さっきよりも体調が良さそうだわ。
 よかった……。
 じゃあ遠慮なくお話ししてもいいわよね?
 


「あの、私……殿下にお話があって」

「!」


 そう伝えると、なぜかジョシュア殿下の顔が険しく歪んだ。
 まるで私の話を聞きたくないと言われているようで、覚悟が薄れてしまいそうになる。



 え? 何、この顔……。



「……とりあえず、部屋に入って」

「は、はい」


 元気のなくなった殿下は、俯き気味に扉を開けて私を中に入れてくれた。
 初めて入る殿下の部屋に緊張しつつ、迷惑だったのかと不安に襲われる。


「話って、昨日のこと?」


 私を見ないようにしているのか、顔を横に向けたままの殿下がぶっきらぼうに聞いてきた。



 昨日?
 
 
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