結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
47 腹黒王子はヤンデレ王子!?
どれくらい時間が経ったんだろう。
たぶん、実際にはほんの数分……いや。数十秒だったかもしれない。
それでも私にとってはすごく長く感じるほど、ジョシュア殿下と抱き合っていた。
……どうしよう。
思わず背中に手を回してしまったけど、そろそろ離れたほうがいいのかしら?
嬉しさで溢れていた胸が、今はまた緊張と不安でいっぱいになっている。
男性とこういったことをしたことのない私は、どう対応するのが正解なのかまったくわからないのだ。
このままだと心臓ももたないし、そろそろ……。
恐る恐るゆっくりと、殿下の背中から手を離す。
ピクッと反応した殿下が、それを止めるかのように先ほどよりも強く抱きしめてきた。
「!」
「……さっきの話の続きだけど」
ずっと黙っていた殿下が、そのタイミングで同時に声を出した。
私の耳に近い場所で喋っているため、声を小さくしてくれていて少しくすぐったい。