結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
呆れる気持ちと、どこか可愛いと思ってしまっている自分。
どうやら私は自分で思っているよりもこの人のことが好きみたいだ。
かといって、そんな簡単に何度も言えないわよ!
「言いません。もう怒っていても別にいいです」
「あれ? いいの?」
「それに、こういうことは男性のほうから言うべきですから」
「!」
私からの小さな反抗。
そう言って話の流れを変えたかっただけなのに、ジョシュア殿下は意外にも楽しそうにニヤッと口角を上げた。
……え?
「俺はセアラが大好きだよ」
「!!」
「俺はセアラが大好きだ」
ウソ……本当に言い始めた!?
「あの、でん……」
「こんな俺を見せても俺を好きだと言ってくれる、そんなセアラが好きだ」
「!」
「真面目で何に対しても一生懸命で、考えてることが顔に出る素直なセアラが好きだ」
「で、殿下……」
「この綺麗な淡いピンク色の髪も、宝石のような薄紫色の瞳も、全部が可愛い」
「あの……もう……」
「俺を呼ぶ声も、俺を見つめるその目も、力のない弱くて細い手も、全部が愛しくてたまらないよ」
「もっ、もう大丈夫です!!!」