結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜

 羞恥心が限界に達し、私は大声を出して殿下の言葉を止めた。
 体中が熱くなっていて、きっと顔は真っ赤になっていると思う。


「え? もういいの? まだまだ100回には足りてないけど」

「もう充分です……」

「そう? 俺は全然言い足りないけど?」

「…………」


 殿下を困らせるための反抗だったはずなのに、見事に反撃されてしまった。
 


 うう……恥ずかしすぎるわ。
 なんで殿下はこんなにペラペラと言えるの!?



 尊敬なのか呆れなのかよくわからない感情で殿下を見つめると、ニコッと余裕そうに笑顔を返された。
 朝会ったときとは比べものにならないほどご機嫌な様子だ。


「……あれ? セアラ。何か落としてるよ」

「え? …………あっ」


 私の足元に視線を落としたジョシュア殿下が、私が動くより先に落ちていた小さい紙を拾い上げる。
 そして、裏面にうっすら私の写真が写っていることに気づいたのか「これ……」と何かを確信するようにその紙を広げた。


「これ、セアラの……?」

「はい。妃候補の中に入っていた私の書類です」

「なんでこれがここに?」

「それは……()()()を、殿下の妃候補にいかがかなと思いまして……」

「!」

< 308 / 318 >

この作品をシェア

pagetop