結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
羞恥心が限界に達し、私は大声を出して殿下の言葉を止めた。
体中が熱くなっていて、きっと顔は真っ赤になっていると思う。
「え? もういいの? まだまだ100回には足りてないけど」
「もう充分です……」
「そう? 俺は全然言い足りないけど?」
「…………」
殿下を困らせるための反抗だったはずなのに、見事に反撃されてしまった。
うう……恥ずかしすぎるわ。
なんで殿下はこんなにペラペラと言えるの!?
尊敬なのか呆れなのかよくわからない感情で殿下を見つめると、ニコッと余裕そうに笑顔を返された。
朝会ったときとは比べものにならないほどご機嫌な様子だ。
「……あれ? セアラ。何か落としてるよ」
「え? …………あっ」
私の足元に視線を落としたジョシュア殿下が、私が動くより先に落ちていた小さい紙を拾い上げる。
そして、裏面にうっすら私の写真が写っていることに気づいたのか「これ……」と何かを確信するようにその紙を広げた。
「これ、セアラの……?」
「はい。妃候補の中に入っていた私の書類です」
「なんでこれがここに?」
「それは……その方を、殿下の妃候補にいかがかなと思いまして……」
「!」