結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
屁理屈のような殿下の返答に、思わず口をポカンと開けてしまう。
聞きたいようで聞きたくない真実を確かめるために、私は恐る恐る話を続けた。
「では……もし私が行くと言っていたら、どうされたのですか……?」
「そうならなくて、本当によかったよ」
殿下はわざとらしく切ない表情を浮かべると、服のポケットから何かを取り出した。
それが手錠とわかるなり、私はズサッと足を動かし殿下から距離を取った。
えっ!? 手錠!?
ま、まさか、それで私を……!?
以前、殿下が私に「監禁するしかないかな」と言ったことがあるのを思い出す。
サーーッと青ざめた私を見て、ジョシュア殿下はフッと柔らかく意味深に笑った。
「俺が素直にフレッド殿下にセアラを渡すと思う?」
「……殿下。それは犯罪ですよ。いくら殿下といえども、許されないです」
「やだな。セアラ。冗談だよ。実際に使ってないだろ」
それは私が行かない選択をしたからですよね!?
もし行く選択をしていたら……そんなことを考えてゾッとしてしまう。
さっきまでの甘いムードが台無しだ。
もう……! あいかわらず腹黒なんだから。
でも、体調も問題なさそうね。完全に回復したみたいだわ。