結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
「で、殿下……」
「ん?」
「そろそろ執務室に……戻りませんか?」
「まだ」
「…………」
あれからどれくらい時間が経ったのか。
初めてのキスを交わしたあと……抱きしめられたり、唇や頬にキスをされたり、ジョシュア殿下からのスキンシップが止まらない。
もう……もう……限界だわ!!
幸せに浸れていたのも数分。
今はもうどこか冷静になった私が恥ずかしさを訴えてきているし、仕事中にこんなことをしている後ろめたさが大きくなっている。
「ですが、もう10分くらい経っている気が……」
「たった10分でしょ。俺が何年セアラとこうしたいのを我慢してたと思ってるの?」
「…………」
が、我慢って……。
「だから、まだまだ。……ね?」
「……ダメです! 今は仕事中なんですから。私はもう戻ります」
「はぁ……。ほんとセアラは真面目だよね。まあ、そういうところも好きだからいいけど」
「!」
カアッと赤くなった私を見て、満足そうに殿下が笑う。
嬉しそうな殿下の笑顔を見られて私も嬉しく思うけど、どうにも心がくすぐったくて仕方がない。
「俺たちのこと、いろいろな人に報告しなきゃだし、ね」
「そう……ですね」
マーガレット殿下やトユン事務官に報告したら、どんな反応するかしら……。
きっとジョシュア殿下のように喜ばしい気持ちをそのまま顔に出されそうな気がして、私は想像するだけで顔が赤くなってしまうのだった。