結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
最終話 結婚式はあの場所で
1年後──。
「ジョシュア殿下、セアラ妃殿下、おめでとうございます!」
わああ……! と歓声の上がる街中を、たくさんの花やレースで飾られた白い馬車に乗ってゆっくりと回る。
今日は私とジョシュア殿下の結婚式だ。
すでに正式な儀式は終えてあり、これから私と殿下の望む『私たちの結婚式』を行うためにその会場へ向かっている。
「すごい人の数ですね」
「ああ。みんな俺とセアラの結婚を喜んでくれてるんだよ」
笑顔や温かい言葉をくれる人たちに向かって、私たちは微笑みながらずっと手を振っている。
お祝いとして撒かれている白とピンク色の花びらが、ヒラヒラと空を舞っていてとても綺麗だ。
こんな景色を見られる日がくるなんて……本当に素敵だわ。
雲ひとつない晴天、明るく笑顔いっぱいの街の人々、お祝いのために花やガーランドで飾られた華やかな街、純白で美しいウエディングドレス、そして──隣に座っている愛しい人。
街中を走っている間は、2人で顔を合わせて話すこともできない。
お互いがそれぞれの窓から人々に手を振っているからだ。
でも、ジョシュア殿下は反対の手で私の手をずっと握ってくれている。
それがとても嬉しくて、幸せだと心から思えた。