結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
私とジョシュア殿下がお互いの気持ちを確かめ合った日のあと、その報告を聞いたトユン事務官は大きな拍手とともにお祝いの言葉を叫び、マーガレット王女は大号泣しながら「よかった」と何度も繰り返し呟いていた。
「おめでとう〜〜。セアラ。ジョシュア」
「マーガレット殿下……大丈夫ですか? ハンカチをどうぞ」
「ありが……」
「ところで姉さん。セアラは俺が昔教会で会った少年だと知らなかったはずなのに、なぜか知っていたんだけど……なんでかな?」
「!?」
私の差し出したハンカチに手を伸ばしていた王女は、ピタッとその動きを止めた。
怪しい笑みを浮かべているジョシュア殿下を見て、涙はすっかり引いたらしい。
「え……セアラは知らなかったの……?」
「俺、言ったはずだよね? セアラに余計なこと言うなって」
「そ、それは恋心のことだけじゃ……」
「ああ。残念だよ。まさか最後の最後に、姉さんが俺を裏切るなんて」
じわじわと追い詰めていくジョシュア殿下と、どんどん顔色が悪くなっていくマーガレット王女。
私とトユン事務官は何も言えずに見守ることしかできない。
「裏切るなんて、そんな……っ!」
「なんてね」
「…………え?」
急にドス黒いオーラを消したジョシュア殿下は、私の隣に立って肩にそっと手を置いた。