結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜

7 腹黒王子に操られる可哀想な事務官


 朝の会議が始まって数分。
 私は震える手で、先ほど配られた新しい資料に目を通していた。


 
 な……なんなの、これは!?


 
 その資料はこの会議で1番重要な予算案だというのに、計算間違いだらけのひどい出来栄えだった。


 
 パッと見ただけでおかしい数字になっているのがわかるのに、これを作成した人はまったく気がつかなかったというの?

 こんな資料を殿下に提出してしまうなんて……!
 
 朝一には間に合わないというから事前確認できなかったけど、しっかりチェックするべきだったわ。
 このままじゃ…………あっ!


 
 チラッとジョシュア殿下に視線を送ると、ちょうど殿下が資料を静かに閉じているところだった。
 会議の途中で資料を閉じるということは、もうこの会議を続けるつもりがないということを意味する。


 
 あああ……やっぱり!
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